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日本知財学会 第19回産業功労賞

 日本知財学会では、知的財産分野における活動で顕著な業績があった法人を表彰するために、2004年に産業功労賞を創設しました。国内法人会員を対象に理事会で審査を行い、毎年表彰を行っています。
 理事会での厳正な審査の結果、本年度の産業功労賞はサントリーホールディングス株式会社が選出され、2022年6月27日の総会で表彰式を行いました。

受賞法人
サントリーホールディングス株式会社

受賞理由
 サントリーホールディングスは、「やってみなはれ」「利益三分主義」という創業精神の下、酒類や清涼飲料、健康食品などの商品やサービスを通じて、「豊かな生活文化の創造」を、志として営んでいます。「やってみなはれ」はサントリーの原動力となる価値観です。また、「利益三分主義」は、事業の成功をステークホルダーや社会全体と分け合い、互いに発展・成長していくという、サントリーの存在意義となる、不変の価値観です。

 激動する社会環境の中で、SDGsと知的財産との結節点に関連する様々な取り組みを進めています。
 まず、水資源について、水源涵養活動「天然水の森」、次世代環境教育「水育(みずいく)」等の活動に加えて、「Water Scarcity Footprint」がISOの技術報告書に採用されるなど、研究成果を知的財産として世の中に公開し、広く活用されるよう尽力してきました。
 また、気候変動対策について、2021年に、長野県大町市に環境配慮型工場を新設し、CO2排出量ゼロ工場を実現しました。環境・地域とのつながり、人間中心のものづくり、お客様視点のものづくりを目指しており、新たな品質保証に関する知的財産を創出しました。
 さらに、ペットボトルの循環システムの構築に取り組み、2030年までに化石由来原料の使用をゼロにする、という目標にチャレンジしています。
2018年には、ペットボトルを再生する技術を日・伊・墺の企業と共同開発し、従来比でCO2排出量を60%抑制することに成功しました。この技術は、国際特許出願を通じて世界各国に出願して、世界中で利用されることを目指しています。

 2020年に、培ったバイオPET技術でプラスチックの再資源化を実現するため、知的財産を用いた業界を超えたパートナーシップとして、新会社「R PLUS JAPAN」を立ち上げ、バリューチェーン全体にわたる多数の企業を結集して広く展開し、日本から新しい課題解決策を世界中に示すことを目指しています。
 このように、SDGsの観点から、知的財産を活用して社会を変化させるイノベーションの取り組みを主導しています。

 サントリーは、事業に寄り添った知的財産マネジメントを目指しています。近年では、伊右衛門に関する特許や、金麦、オールフリー等に関する特許の取得など、飲料・酒類分野において特許を効果的に取得、活用しており、伝統的な飲料である緑茶やビールについても特許の取得・活用が可能であることを示した、画期的な取り組みであると言えます。
 また、意匠を、「技術を保護する特許」「ブランドを保護する商標」の二つの側面を持つ知的財産権と位置付けて、事業利益への貢献を目指して、①ブランド資産となりうる特徴的なパッケージデザイン、②物品の技術的・機能的な設計、③独創的な販促ツールアイデア、という三つの観点から戦略的に出願してきました。2015年には、知財功労賞経済産業大臣表彰を受賞しています。
 これらの権利化業務に加えて、国内においては、健康食品、パッケージ、酒類等に関し、権利行使を行ない、また、中国においても模倣品対策を行うなど、エンフォースメントの面でも積極的な知的財産活動を展開しています。
 さらに、社外での知的財産活動として、日本知的財産協会、日本食品・バイオ知的財産権センター、大阪発明協会、日本ライセンス協会、デザイン保護協会等に参画して、日本の知的財産業界の活動を方向付ける上で重要な役割を担い、貢献してきました。

 以上のように、知的財産を重視した経営とその成果、日本の産業界の発展に向けた尽力は、日本知財学会産業功労賞に相応しい業績であると高く評価されました。

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