ブランド経営分科会
ブランド経営分科会 第1回研究会 開催報告
■はじめに
ブランド経営分科会は、ブランドに関する研究を行うことを目的として2019年6月に発足し、今回、第1回研究会を「標識法×法言語学 ブランドの混同・希釈化についての学融合的考察」というテーマで、国際ファッション専門職大学(コクーンタワー内ホール)にて、2019年8月23日に開催いたしました。
商標法等のいわゆる知的財産法の視点、ブランディング・マーケティング等のビジネスの視点、加えて知的財産法の周辺法の領域を超えた異分野も含めた学融合的な議論を目指す分科会の第1回目の研究会となります。
商標法や不正競争防止法を含む、いわゆる知的財産法のうち標識法において、ブランド保護の本質的な判断基準である「混同」の問題と、かかる混同を生じるおそれがなくともブランド保護に影響を与え得る「希釈化」の問題に焦点を当て、登壇者として、商標などの幅広い知財実務に精通しながら、研究・教育活動などの分野でも活躍されている弁理士と、法言語学の研究学者として、教育、研究、執筆、コメンテーターなど幅広い分野でマルチに活躍の大学教授の先生方に講演をしていただき、それぞれ標識法と法言語学の観点から、ブランドの混同・希釈化について考察、議論を行う研究会となりました。
当日は、企業、大学、法律・特許事務所などから120名を越える方々にご参加頂きました。
■講演概要
当分科会幹事代表の小川徹氏より、当分科会及び本日の研究会の概要と進行について説明がされました。
第一部は、弁理士であり国際ファッション専門職大学教授、及び、当分科会の座長も務める西村雅子氏により講演が行われました。上記テーマに関して、主として標識法の観点から、「混同」の問題について、複数の構成からなる様々なタイプの結合商標における類否判断事例を通じた考察、及び、「希釈化」の問題について、商標の構成要素の識別力、使用による周知・著名性、併存登録の考慮の有無など、また事業分裂の事例なども言及しつつ、様々な観点からの問題提起及び考察がされました。
第二部は、明治大学法学部教授であり法と言語科学研究所代表も務める堀田秀吾氏より、ブランド保護に用いる商標の混同と希釈化の問題に関して、主に第一部で取り上げられた類否判断事例を題材に、言語学あるいは心理学的な観点からご講演いただきました。第一部での問題提起に応えていただく形で、結合商標の内部構造、またそれに基づく要部認定に係る言語学的・認知科学的な分析手法について解説いただき、さらに、希釈化による商標機能への影響について調査した心理実験についても、ご報告いただきました。
講演後、会場からは多数のご質問やご意見が寄せられて、活発な質疑応答がおこなわれました。
研究会の総括として、東京工業大学教授であり、当分科会の担当理事の橋本正洋氏より、改めて当分科会の発足と今後の活動に向けての挨拶がありました。
■むすび
以上のように第1回研究会は、盛会に終わりました。ご登壇、ご参加、運営にご協力頂いた皆様に心より感謝申し上げます。当分科会では、今後も、ブランドに関する様々な法律的、学術的な観点からの研究と発表を行っていく予定でございます。今後ともご参加賜りますようお願い申し上げます。
※当日運営などは分科会運営担当者(大塚、五所)にご協力いただきました。
ブランド経営分科会 第1回研究会
「標識法×法言語学 ブランドの混同・希釈化についての学融合的考察」
(2019年8月23日開催)
ブランド経営分科会は、ブランドに関する研究を行うことを目的として、2019年6月に発足し、今回、第1回目の研究会を開催いたします。
当分科会は、担当理事に橋本正洋副会長、そして座長に商標・意匠専門の弁理士(国際ファッション専門職大学教授)の西村雅子氏をお迎えして、ブランド戦略をはじめとする企業のブランドにまつわるイシューを商標法、不正競争防止法を中心とした知的財産法の視点、ブランディング・マーケティング等のビジネスの視点等、学融合的な議論を進めていきたいと考えております。
記念すべき第1回は、「標識法×法言語学」をテーマに研究会を行います。
第1部の講師である西村雅子氏(当分科会座長)は、弁理士として、商標や意匠の分野において幅広く活動しています。また、その傍ら、大学の教授としても積極的に研究・教育活動を行っており、「商標法講義」という教科書や多くの学術論文を公表しています。
第2部の講師である堀田秀吾氏は、法言語学の研究をされている言語学者です。特に、商標の類否判断や裁判員裁判などにおける言語使用・コミュニケーションについては、先進的な学術論文を執筆されており、当分科会が目指す学融合的な研究をされている研究者です。また、最近では、一般書・ビジネス書・語学書も多数執筆され、TV朝日ワイド!スクランブルにコメンテーターとして出演されるなど、マルチにご活躍されております。
そのお二方により、それぞれ標識法と法言語学の観点から、ブランドの混同・希釈化について考察していただき、議論したいと考えております。
混同・希釈化は、商標実務における重要な検討事項であり、第1回目に相応しい課題と考えております。この課題について、当分科会が目指す学融合的なアプローチで掘り下げて参ります。
◎研究会案内パンフレット
【日 時】 2019年8月23日(金)18:00-20:30 (開場17:30~) | |
【場 所】 国際ファッション専門職大学内 総合校舎コクーンタワー ホールA https://www.piif.ac.jp/#access (東京都新宿区西新宿1-7-3) |
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【参加費】 無料 ※懇親会開催予定(有料:5,000円程度) | |
【対 象】 日本知財学会会員および一般の方 | |
【講演者】 | |
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第1部 「ブランドの混同・希釈化ー標識法の観点からの考察」 西村 雅子 氏 大島・西村・宮永商標特許事務所・パートナー弁理士 / 国際ファッション専門職大学 教授 |
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第2部 「ブランドの混同・希釈化ー法言語学の観点からの考察」 堀田 秀吾 氏 明治大学法学部 教授 |
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