知財教育分科会
知財教育分科会2012年度活動報告および2013年度活動計画
知財教育分科会は技術者教育、産業教育、起業家教育あるいは教員養成などの今日の教育に求められる新しい側面を多く取り入れ、初等中等教育段階を含めた、専門家養成に捕らわれない知財教育の普及推進を目的に、教育学の研究者のほか、学校現場の教職員や生涯学習・社会教育などに携わる人々の連携を深め、わが国の知財教育の発展を目指しています。
知財教育分科会は、学会設立から5年を経て、2007年2月に知財教育の創始者である松岡、片桐、岡田、世良の4名が発起人となって、学会理事の井口とによって、政策研究院でのキックオフミーティングで産声を上げました。それまでの知財学会には知財教育という研究領域は存在しませんでした。年次学術発表会でも、知財教育に関する研究報告のセッションは存在せず、人材育成セッションの片隅で細々と息づいていました。知財人材育成と知財教育は、知財を人々に知らしめるという共通面はあります。しかし、その対象は知財の専門家や高度な知財オペレーションを担当する者を対象とするのか、それとも広く、あらゆる人々に知財意識を醸成する教育する者を対象にするのか、大きな差異があります。人材育成セッションのなかに紛れ込んだ知財教育に関する研究・実践報告は、聴取者多数の興味と関心を得て、それが分科会の設置の原動力になりました。以降、年次を追って新幹事に加わり、毎年1-2月には年間報告と計画立案する会をもち、その際、幹事から推薦のあった分科会員を新たに幹事の就任を依頼し、現在総勢18名の理事・幹事・事務局員によって、分科会運営がなされています。理事・幹事は、北海道・東北地区から九州・沖縄地区までくまなく分布していることが特徴です。また、分科会の登録会員は、知財人材育成や知財教育に造詣の深い研究者や教育実践者を中心に100名を超えています。
分科会の活動は、全国各地のユニークな知財教育・実践を掘り起こし、ネットワーク化を図るため、設置以来、年間4回の知財教育研究会を全国で巡回開催することと、年次学術研究発表会とで情報を共有しネットワーク構築を図り、知財教育の確立を進めてきました。2013年1月現在、全国巡回の知財教育研究会は25回を数え、さらに2010年度からは、新たに全国3回の知財教育セミナーを開催してきました。前者が学術的な教育研究を主体としているのに対して、後者は学校現場の一般教職員や教職を目指す学生を主対象として、学校や地域での知財教育を広く普及推進することを目的とし、知財教育の方法や教材など、毎回、特定のテーマに絞ってセミナーを開催し、専門家から講演や実習や実技なども交え、知財教育の普及を図っています。
年次学術研究発表会の分科会セッションは、これまでパネルディスカッションとラウンドテーブルを交互に実施してきました。パネルディスカッションは優れた実績をお持ちの皆様にご意見ご提案いただき、これらをフロアで共有すると共に、ラウンドテーブルでは、参加者が同じテーブルについて議論を深め、課題解決に向けて、今後の方向性を見定めるものとして位置付けています。2012年度は、ラウンドテーブル「知財教育とは何か。何が問題か。」を共通認識に持って、参加者全員で討議を行うことができました。
日本では、文部科学省によって告示された中学校と高等学校の新しい学習指導要領で、知的財産の記述がなされ、日本は知財教育の新しい1歩を踏み出しつつあります。こうして、知財教育分科会は、今後も、日本全国各地の学校教育や地域での知財教育の優れた教育研究や教育実践を相互に情報共有し、普及推進を図ることを目指します。
1.2012年度活動報告
第23回知財教育研究会(2012.7.1 / 東北工業大学一番町ロビー)
第24回知財教育研究会(2012.9.30 / 三重県立津商業高等学校)
第10回年次学術研究発表会分科会セッション (2012.12.8-9 / 大阪工業大学)
テーマ:「知財教育とは何か、何が問題か」
形 式:ラウンドテーブル
第25回知財教育研究会(2013.1.27 / オリンピック記念青少年センター)
2.2013年度計画案
第26回知財教育研究会 (2013.5 / 東海地区または中国四国地区)
第27回知財教育研究会 (2013.9 / 北海道・東北地区)
第11回年次学術研究発表会分科会セッション (2013.11)
テーマ:「知財教育担当者の人財育成・研修」
形 式: ラウンドテーブル
第28回知財教育研究会 (2013.2 / 関東地区)
3.新年度の分科会役員(敬称略、所属は1月27日現在)
(1)理事 | 井口泰孝(弘前大学) | |
(2)幹事代表 | 片桐昌直(大阪教育大学) | |
(3)副代表 | 谷口牧子(旭川工業高等専門学校) 村松浩幸(信州大学) |
|
(4)幹事 | ・北海道・東北地区 | 谷口牧子(旭川工業高等専門学校)(再掲) 渡部順一(東北工業大学) |
・関東甲信越地区 | 井上春季(日本弁理士会) 村松浩幸(信州大学)(再掲) 本江哲行(富山高等専門学校) 黒田 潔(玉川大学) 角田政芳(東海大学) |
|
・東海北陸地区 | 松岡 守(三重大学) 岡田広司(椙山女学園大学) 世良 清(三重県立津商業高等学校) |
|
・関西地区 | 片桐昌直(大阪教育大学)(再掲) | |
・中国・四国地区 | 木村友久(山口大学) 内藤善文(愛媛県立東予高等学校) |
|
・九州・沖縄地区 | 宮里大八(沖縄TLO/琉球大学) 篭原裕明(全国知財・創造教育研究会) |
|
・海外 | 陳 愛華(中国・重慶大学) | |
(5)事務局 | 事務局長 | 世良 清(三重県立津商業高等学校)(再掲) |
事務局員 | 渥美勇輝(鈴鹿市立鈴峰中学校) |
4.提案事項(継続事項)
(1)分科会研究紀要の創刊
(2)知財教育書の出版・・・・・学会10周年記念
(3)教員免許更新講習
(4)WEBページ作成
(5)他団体との連携